お店やさんごっこが大好きな子どもでした。

まっ白い紙にカラフルな絵や線を描き、いくつも並べて「便せん、封筒やさん」をオープン。お客さまは妹です。コンセプトをたてたり、どんなデザインなら買ってもらえるだろうかと、幼いながらに試行錯誤していたように思います。

さらに思い出すのは、大切にしていた海外製のお世話する人形。おもちゃのベビーフードを食べさせることができるのですが、そのフードがベリーの甘い良い香りがするのです。その香りに魅了されたのか、お世話する年頃を過ぎてもしばらく持っていた記憶があります。

いつしか大人になり、何気なく手に取ったリップ。幼い頃大好きだった、あのおもちゃと同じベリーの香りがしたときは衝撃を受けました。すっかり忘れていた幼少期の記憶が引き出され、とても懐かしくあたたかい気持ちになりました。香りと記憶は結びついていることを、身をもって体感した出来事です。

お店やさんごっこが大好きだった子どもが、オンラインショップを始めることになったり、いい香りのするおもちゃを大切にしていた子どもが、アロマの世界に飛び込んだり。このショップがスタートするのは、偶然のようで、必然だったのかもしれません。まだまだアイテム数の少ない小さなお店ですが、皆さまの暮らしにそっと溶け込めるような存在になっていけるよう努力してまいります。

2022.5

atelier aroma designing